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大麻規制検討小委員会設立

この度、厚生労働省に大麻規制検討小委員会が設置された。
https://onl.bz/rmdeh1T

この小委員会は昨年の「大麻等の薬物対策のあり方検討会」の結果を受けて組織されたのだが、委員の顔ぶれを見て懸念しかない。

大麻規制検討小委員会構成員(案)
氏名 所属
太田 達也 慶應義塾大学法学部教授
神村 裕子 公益社団法人日本医師会 常任理事
合田 幸広 (委員長・候補) 国立医薬品食品衛生研究所所長
小林 桜児 地方独立行政法人神奈川県立病院機構 神奈川県立精神医療センター 依存症診療科・依存症研究室・副院長
鈴木 勉 学校法人湘南ふれあい学園 湘南医療大学 薬学部長
中島 真弓 東京都福祉保健局健康安全部薬務課長
関野 祐子 東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 特任研究員
富永 孝治 公益社団法人日本薬剤師会 常務理事
橋爪 真一郎 日本製薬団体連合会(塩野義製薬株式会社 CSR 推進部)
花尻 瑠璃 国立医薬品食品衛生研究所 生薬部第 3 室長
舩田 正彦 学校法人湘南ふれあい学園 湘南医療大学 薬学部 教授

先の検討会は大麻(THC)の有害性あるいは安全性という最も重要な点をろくに審議しなかったので私は全く評価していない。
<大麻等の薬物対策のあり方検討会>議事録、資料、名簿など  https://onl.bz/CUPZyYX

その会議の座長が鈴木勉。<大麻ダメ、ゼッタイ>を生業としている人物だ。
彼が役員を務める財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センターのサイトは<薬物乱用防止「ダメ。ゼッタイ。」ホームページ>と表示されている。
https://www.dapc.or.jp
同センターの理事長藤野彰氏も先の検討会の委員。

検討会ではダメ、ゼッタイ陣営の方々が最後までハームリダクションの概念を理解せず、何度も説明を受けて貴重な時間を無駄にしている。
ハームリダクション(懲罰より治療)世界的な流れなのだが、それを知らない物を有識者として招聘するのがそもそも間違い。
またこの面々は、ダメ、ゼッタイのスローガンがいろいろな局面で薬物使用者を不必要に追い詰め、厚生を妨げていることを頑なに認めない。
この方々が厳罰主義では薬物依存を解決しないという現実を受け入れなかったために会議が堂々巡りをした。

先の検討会の唯一評価できるところは大麻の医療利用を認めた点。ただ、一部の企業にのみ恩恵があるようなことになるなら、その唯一の評価点も半減する。
産業大麻については規制緩和が進んでいないこと、嗜好大麻については使用罪の導入を検討するなど逆方向に進んでいることなど、全く評価できない会議であった。

新設された小委員会に先の検討会でハームリダクション派として奮闘してくださった松本俊彦氏や依存症の立場から声を上げてくださった川崎ダルクの岡崎氏は選ばれていない。
使用罪創設を目論んだ厚労省にとって邪魔な存在であったことは間違いない。
ただ松本先生らの主張は議事録にしっかり残っており、今後もハームリダクションの観点を無視できない状況になっていることに感謝したい。
検討会では伝統大麻栽培者の立場から大森氏と若園氏が発言されたが、嗜好大麻を否定する“余計”な発言もしている(THCの安全性が認められれば、自然と産業大麻の規制は撤廃されるはず)。
栽培規制の緩和と引き換えに嗜好大麻を否定するように厚労省から持ち掛けられたのではないだろうか。
規制緩和は遅々として進んでおらず、いいように利用されたようだ。

このような奸計を仕組んでくる厚労省がまともな人選をするとは思えないのだが、やはり小委員会の顔ぶれはダメ、ゼッタイの方々と医療関係者で固められている。
海外で嗜好大麻の合法化が続いている状況で大麻を吸ったこともない人間ばかり集めて規制の取り決めをすることの不毛さ。
始める前から間違っている委員会だ。

産業大麻の規制緩和とハームリダクション政策は法律を変えなくても、今日から実施できることである。
大麻使用による逮捕や解雇が無くなれば、大麻使用者も声を上げやすくなる。小委員会の面々もこっそり使用して知見を得ることができるだろう。

南アフリカやメキシコでは裁判所が立法府に法律の改善を促すということが起きた。個人の薬物使用を犯罪とみなすのは人権侵害なのである。
日本人がこの人権感覚を理解するのはいつになるだろうか。

南アフリカ憲法裁判所 2018年 「大麻の個人使用は合法である。」
https://www.afpbb.com/articles/-/3190054?act=all

メキシコ最高裁 2018年 「大麻を私的に使用することを禁止するのは憲法に違反する」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN111YX0R10C21A3000000/

ともあれ、この大麻規制検討小委員会が国民の福祉に向き合った内容となることを願いつつ今後も注視していきたい。

<委員会の議事は原則公開とする。ただし、個人情報の保護に支障を及ぼすおそれがある場合又は知的財産権その他個人若しくは団体の権利利益が不当に侵害されるおそれがある場合には、委員長は会議を非公開とすることができる。>
例によってこんな文言もあるので、良からぬことを企んでいると思えて仕方ないが…。

高野泰年

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