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ハームリダクションについて

最終更新日 2021年12月08日
健康大麻推進家 高野泰年

日本の大麻情勢の好転のために欠かせないのがハームリダクションへの理解。
薬物などの依存症を解決するためには、ハームをリダクションする、直訳すると<害を減らす>だが、実際に実施するのは<刑罰より支援>という政策。
これは欧米各国や国連、WHOも進める、いわば世界の潮流とも言えるもので、先進国では唯一日本がこれと逆の方向に進んでいる。
<大麻等の薬物対策のあり方検討会>いわゆる有識者検討会が今年8回に渡って会議されたが、大麻の使用罪を創設しようという無理やりな結論を出している。
これは厚労省が誘導して出させている。
メンバーの人選からして<ダメ、ぜったい>を推進してきた人間が多過ぎである。
薬物依存の専門家の松本俊彦さんと川崎ダルク支援会理事長の岡﨑重人氏が使用罪に激しく反対してくれたのが救いだったが、厚労省は創設に突き進んでいる。
厚労省は都合のいいときだけWHOや国連の意見を借りてきて、ハームリダクションについては真逆の方向を向いている。

なぜハームリダクションなのか。
欧米各国はこれまで薬物使用者に対して厳罰を課して使用をやめさせようとしたが、やめさせるどころか使用量が増えたり、却って死人が増えたりした。
様々な検証の結果、薬物に依存する環境や心理的要因を取り除いたり、薬物を他のものに置き換えていくことをする方がより効果的というか、それをしないとやめられないことが判明している。
これは幾多の検証を経た、科学的根拠を伴った政策で、れっきとしたエビデンス。このエビデンスというものが本当に日本の政策には欠けている。

日本は今、薬物使用者から職を奪い、ひたすら社会的制裁を加えている状態。
芸能人が謝罪会見などさせられているが、関係者には直に謝ればいいわけだし、一般市民に向けて謝罪する必要などあるのだろうか。
ネットでその芸能人をひたすら叩いているコメントなどを見ると、書き込んでいる人の方がよっぽど生活が荒んでいるのかと感じる。
依存症にはいろいろあるが、ギャンブルとかネット、アイドル、食べ物、痴漢、窃盗、アルコール、買い物、これらは脳が欲望に乗っとられているので、本人の意思に反して行われている。
依存症は医学病名で「ゲーム障害」や「性嗜好障害」、「過食性障害」などとされる精神疾患で、順序だてて正しくアプローチしないと治らない病気である。
本人の責任感とかやる気だけの問題じゃないということの理解が広がることが日本ではまず大事だ。

大麻に関していえば、そもそも依存性は低い。使用しただけで俳優業を断たれるとか、相撲界から追放されるというのはもったいないし、非生産的で人道的でもない。
薬物の使用を罰することが人間の尊厳全てを奪うものであってはならないと思う。
アメリカではドラックコートという薬物専門の裁判所があり、刑務所に入るか、治療プログラムを受けるかの選択ができます。当然、皆選択を選ぶ。
ハームリダクションは法務省や厚労省でも理解して推進している部署もあるので、日本でも薬物使用者をひたすら叩くのはやめて、立ち直ろうとする人を支援する健全な風土が早く出来上がるといい。
それとやはり非科学的なのはいけない。
依存症は脳のメカニズムの問題なので本当に罰より治療こそが必要であるし、大麻(THC)についても科学的根拠を持って合法・非合法の議論がなされるべきである。

【過去記事】

▶︎「大麻等の薬物対策のあり方検討会」は第7回も平行線
記事を読む >>>

▶︎第3回「大麻等の薬物対策のあり方検討会」議事録の感想
記事を読む >>>

 

高野泰年

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