愛知県の大麻取扱者免許申請審査基準 後編
愛知県の医薬安全課のサイトより
http://www.som.pref.aichi.jp/gyoute/syozoku/e2300/dat/2130b.pdf
平成21年の厚生労働省からの通知には大麻栽培免許には「栽培等が国民にとって必要不可欠なものであるかどうか」という条件が加えられています。
平成24年の群馬県と厚労省とのやり取りからの通知には栽培目的に「一般に使用されている生活必需品として生活に密着した必要不可欠なものである」とさらに限定されています。
また「大麻の有害成分は微量の摂取でも精神作用が発現し、加えて当該成分を抽出・濃縮することで濃度を高めることが可能であることから、たとえ低濃度の大麻であっても、濫用のおそれがある。」とあります。
これを根拠にTHCをほとんど含まない大麻草ですら盗難防止を理由に見学もさせない状態を生んでいるのですが、濃縮についての論文やデータなどの根拠はありません。盗んだ大麻で濫用に至った人もいません。
平成27年の通知は東京都で健康長寿食品や保存食、伝統文化を目的にの栽培免許申請した方の件が通知されています。申請は却下されたのですが、その理由は3つ。
1 代替製品が普及しているため、大麻の実の健康食品や保存食は生活に密着した必要不可欠なものでない
2 代替製品が普及しているため、大麻の茎を原材料にした小物やアクセサリーは生活に密着した必要不可欠なものでない
3 しめ縄や下駄の作製を子供や外国人に教えることは伝統文化の継承に必要ではない
代替製品が普及しているためという理由が通れば、大麻草の活用は狭められいずれ根絶されます。現に栽培農家は戦後から激減して日本に37件ほどです。
この件では伝統文化継承のためという理由でも栽培を認められませんでした。
平成28年の通知は大麻栽培免許を与えられた法人の代表及び従業員が大麻草を不正に所持し逮捕された事案を受けてなされました。
厚労省より各都道府県衛生主幹部長宛に1免許審査、2監視の強化、3大麻取扱者への指導、4関係部局との連携を通じた管理の徹底が要請されました。
この通知に大麻は「濫用植物」である、「栽培関係者以外の第三者を不必要に栽培地等に立ち入らせないようにするための規則等を整備し」とあります。
「濫用植物」なる言葉がここで創造されました。広辞苑にも載っていません。大麻草への偏見が生んだ醜い言葉です。
この通知で大麻栽培地の見学が厳しく規制されることになります。現在三重県では新聞社ですら立ち入りできません。
平成29年の通知は厚労省から各都道府県衛生主幹部宛に「年二回の立入検査の情報提供と大麻取扱者免許の審査基準」についての要請です。
これまでの経緯をまとめられ、審査基準は目的、人的要件、物的用法、栽培方法など60項目ほどあります。
このような流れで現在、日本では低THCの産業大麻の栽培や見学すら困難な状況になっています。
このままでは大麻草は根絶してしまいます。
大麻草の繊維や種子は輸入に頼っています。必要だから輸入するのです。
“代替製品が普及しているため”、“生活に密着した必要不可欠なものでない”と栽培を許さないのは道理が通りません。
産業大麻を制御できないどころか、絶滅させようとしているのが今の日本です。
高野泰年