合成カンナビノイド事件に思うこと
<ちょっと真面目な麻のTV>は11月25日に無事に放送された。
臨時国会で改正大麻取締法案が審議されている中で大麻行政の国際整合性を問うた。
この放送を見た方が大麻使用罪のあり得なさを感じてくれたなら本望である。
同じタイミングで合成カンナビノイドHHCHの緊急搬送事件が起きた。
あるイベントで40代男性が配ったグミで緊急搬送が相次いだ。その後、全国各地でカンナビノイド配合グミで搬送されたケースが次々と明らかになった。
この事件はいくつかの不運や不備が重なって起きた。政府、消費者、販売者、マスコミにそれぞれ責任がある。
政府の落ち度は大きく二つ。まず大麻を合法化していないこと。合成カンナビノイドの安全性は確立していない一方、本物の大麻は有史以来実証された安全性がある。薬物を違法化すると濃度の高過ぎるものや品質が粗悪な者がで流通して、却って公衆衛生の害になる。大麻を合法化していれば起きなかった事件である。
次に大麻の基礎知識(過剰摂取しても一晩寝れば治る、慣れないうちは経験者と嗜む、などセッティングを整える)を周知していないこと。ダメ。ゼッタイ。などと徒に危険性を煽るのは事実に反するという点で悪質なデマである。
次に消費者だが、イベントでグミを購入した男性は食べ方の説明を受けたのだろうか。未成年は食べられない、様子を見ながら少しずつ食べること、車は運転してはいけない、アルコールや他のカンナビノイドを併用してはいけないなど注意点があったはずだ。そうしたことを理解していながら、他の人に説明もなく配ったのなら傷害罪が適用されてもおかしくない。また見知らぬ人から渡されたものを簡単に口にするのも問題だ。今回はたまたま合成カンナビノイドグミだっただけで、他の毒物が混入されていたら大惨事になっていた。この男性は盲目の知的障碍者であったという情報があるが、警察が犯人の属性を明らかにしないのでたぶんその通りなのだろう。健常者がグミを配っていたら傷害罪に当たるはずだ。
販売業者についてはカンナビノイドの濃度が高過ぎることが問題だ。こうした事故が起こった時にやはり被害が大きくなる。グミやクッキーは子どもの誤飲があり得る形状なので万全の対策が必要だ。
商品についての説明も徹底すべきだろう。ネットでは商品の説明がされているものの、作用を軽く見たせいで過剰摂取が起きている。蒸気で吸入するより胃から吸収した方が体感が来るのが遅い。二時間以上たって効いて来ることもある。体感は個人差や体調にも大きく左右されるので、少しずつ摂取するのが第一の安全策だろう。
最後にマスコミの報道は一方に偏り過ぎている。改正大麻取締法で使用罪を創設することを援護するような大麻バッシングに見える。緊急搬送はされたが、その後体調は回復しているのにやたら危険性を煽っている。
全社一斉に情報操作する様はコロナ禍で何度も見てきた風景だ。またしても政府と製薬会社、マスコミがグルになって悪さを企んでいる。大麻の健康利用を潰したい製薬利権が今回の事件の黒幕だ。
大麻擁護者の間でも、合成カンナビノイドは本物の大麻じゃない、安全性が確保されていない、大麻が悪印象で見られるなどという批判が上がっている。
一方でユーザーは増えており、それを必要としている人は確実にいる。
大麻を求めている人が合成カンナビノイドに頼るしかないのだから、私は必要悪と見ている。法を犯して大麻を買えとは言えない。
とにもかくにも大麻を合法化しない政府に問題がある。
アルコール摂取時の注意点はおよそ国民に共有されているだろう(それでも緊急搬送などの事件は頻発するが…)。
大麻に関しても政府は正しい情報を広報するべきなのである。政府がウソをつき続ければ情報は錯そうし、覚せい剤も大麻同様に依存性が低いと勘違いする者が現れるかもしれない。
厚労省は11月22日にHHCHを指定薬物に指定し、10日以内に廃棄するよう通達している。メールのやり取りだけで決定したようだ。
その後、警察や麻薬取締部が日本各地のショップに立ち入り調査をし、ひどいケースだと在庫商品を全て押収しているらしい。
深刻な体調不良が発生していないのに、このような緊急措置が必要なのか? 正規の手続きを経て入手した、落ち度のない事業者が一方的に損失を被るのは間違っている。
番組は行政のやり方は問題大有りとみて、今後もこの事件を追って報道していきたい。
参考 日本が許容しているリスクいろいろ
入浴中の死亡者数は年間1万9千人いるとも推計
アルコール性肝疾患の死者は2021年に6000人を超え、コロナ前の19年より1割も増えた。
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20230411-OYT1T50258/
ギンナン中毒「結構死ぬ…死亡率は約13%」小さな子どもは特に…医師が「食べ過ぎ注…
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/gallery/792534
高野泰年