一般社団法人「伊勢麻」振興協会の平成30年度事業報告
平成31年4月16日伊勢商工会議所にて「伊勢麻」の事業報告&勉強会が行われました。
以下<日本の麻の危機的状況と「伊勢麻」の果たす役割>と題された報告から抜粋します。
file:///C:/Users/kimtaenyun/Desktop/伊勢麻報告.pdf
■危機的状況にある精麻加工
平成31年現在、日本の栽培農家数は33名。国産精麻のほぼ全てを生産する栃木県は13名の栽培者のうち10名が65歳以上。
栽培と加工を夫婦一組で行うのが栃木式のため、どちらかが続けられなくなった時点で廃業となる。
■大麻栽培は収益性がある
精麻は1反で40kg取れ、80万円/反、オガラは10万/反、夫婦で6反程度は栽培・加工が可能。
■三重県の課題
厳しすぎる防犯管理と煩雑過ぎる許認可手続き、道から容易に見通せない場所が要件のため山深い不便な栽培地、2メートル以上の柵と有刺鉄線など、防犯カメラ20台以上、供給先は三重県の神社限定で神具屋も不可。
■需要の掘り起こし
神社の注連縄、鈴緒など大半はビニール製、よくて中国産。これらを国産精麻へ。
■大麻×小豆
裏作として小豆。あんことしての販路は十分。
■皇學館大学との連携
神道学科、祭式研究部の学生の教育、実習。
〇平成30年度事業概要
4月5日 大麻栽培免許取得
4月29日 播種
8月1日 収穫開始
10月 精麻加工開始
12月14日 多度退社、椿大神社に精麻各5㎏奉納
12月26日 大麻栽培免許取得 平成31年度より農業法人「伊勢麻」として取得
〇平成31年度事業計画
4月3日 播種 1.8反
5月 需要調査依頼で近隣県の神社庁まわり
6月 伊勢麻栽培地見学会
7月 収穫
9月 精麻加工開始
10月 精麻奉納開始
11月 栽培免許申請 令和2年度分
12月 栽培免許取得
〇令和2年度以降の計画
来年度は6反(精麻生産見込み240㎏)、研修生の正式採用、大麻収穫後の小豆栽培。
4年後は8反(精麻320㎏、売上げ700万円)を計画。
抜粋以上。
報告会の出席者は150人ほどで記者は4人ほどでした。
現在、精麻加工に要する部位以外は全て焼却処理されるとのことです。収益になるオガラと麻の実も焼却されます。とてももったいなく、理不尽です。
6月に予定されている栽培地の見学は三重県が許可しなければ実現しません。現時点で報道機関でも見学不可です。
岐阜県や栃木県に比べるととても規制が厳しいのですが、昨年の大麻栽培は戦後73年ぶりとのことですので今後の柔軟化に期待したいです。
大麻栽培に限らず後継者不足は農業全体の問題ですが、大麻栽培は免許取得が困難で、柵やカメラなど初期費用も掛かるためより深刻です。
高野泰年