ちょっと真面目な麻のTV 4月27日放送分が延期された件
4月27日に放送を予定されていた「ちょっと真面目な麻のTV」第18回は当日になって放送が取りやめられた。松本大輔氏とのインタビューが収録されていたのだが、放送前日の26日に彼が逮捕されたからだ。
放送中止は岐阜放送の判断によるのだが、有罪が確定していない段階でこの判断は妥当なのだろうか。視聴者からの何らかの批判があることを恐れたからであろうが、そもそも有罪だったとしても何ら違法性はない。それが違法ならニュース番組は成立しない。
しかし人質司法が定着してしまっている今の日本では仕方のないことかもしれない。逮捕イコール犯罪者と世間が見なすし、マスコミがそのように報道するからだ。
仮に不起訴だったり、無罪だったとしてもマスコミは何の責任も取らない。警察も裁判所も同様だ。国を相手に訴えないと名誉や収入は回復しないが、それはハードルが高すぎる。だからこそ人質司法の象徴である長期勾留をすぐにやめるべきなのだ。
すぐに釈放されたなら、記者会見などを行い公に反論でき、名誉を維持できるが、勾留されていては何もできずにマスコミに一方的にバッシングされる。
4月20日に逮捕された麻党のラスノブ氏が5月10日釈放された。誰かからもらった未開封のカンナビノイドリキッドに違法物質が混入していたらしい。当然不起訴である。
松本大輔氏もおそらく不起訴になるだろう。正規に通関した製品の中に違法物質が混入していたとして、それで所持した善意の第三者が罪に問われることはない。
私たちの番組に出演した方の2名が逮捕されているが、これは見せしめのようなものだろう。
目立った動きをしているから公権力が示威行為をしているのだ。
ラスノブ氏は20日間勾留された。生粋の活動家である彼は勾留中にも担当官に対して啓発活動をしていたようだ。本当に頭が下がる。
逮捕は怖い。日本では大麻に関わらず政治活動をする者が逮捕で口を封じられることが良くある。
沖縄で辺野古基地建設に反対していた方が逮捕されたり、公官庁に<FREE GAZA>のメッセージをスプレーしていた人も逮捕されて長期勾留されている。
裁判所がグルになっているため違法勾留が横行している。
勾留を延長する理由はバカの一つ覚えの「証拠隠滅の恐れあり」である。
欧米先進国では24時間以内に釈放か否かを決める。相当の理由がない限り釈放されるし、容疑者が失踪しても欠席裁判が認められている。
日本は裁判が始まってもまだ勾留している。弁護士もいない取調室で延々と尋問されるのでは、扱いが囚人と変わらない。
逮捕された者は不起訴になっても、名誉を取り返せない。経済的損失に対しては補償(一日当たり12500円以下)を請求できるが、職を失ったり、店舗を閉店したりした場合、そんなもので足るはずがない。カルロス・ゴーン氏のような高所得者にとっては何も取り返せないのと同様である。
加えて国を相手に訴訟に勝つのもとても難しいし、費用もかかる。
刑事補償法1条,4条
仮に,逮捕・勾留されたまま起訴され,裁判で無罪判決を受けた場合であれば,国に対し,逮捕・勾留された日数に応じ,日額1000円以上1万2500円以下の割合による額の補償金を請求できる。
これに対し,起訴されなかった場合であっても,被疑者補償規程(以下,「規程」)により,補償される場合がある(以下,無罪判決を受けた場合の補償を「刑事補償」と言い,起訴されなかった場合の補償を「被疑者補償」と言う。)。
この規程によれば,被疑者補償に関しても,刑事補償と同様,逮捕・勾留された日数に応じ,日額1000円以上1万2500円以下の割合による額の補償金が支払われることとされており(規程3条),また,「補償の申出」があった場合には,補償に関する事件を立件する(=補償手続を開始する)とも定められている(規程4条3号)。
長期勾留だけみても人権侵害甚だしいが、日本には法律が無きが如しだ。ハームリダクションの壁は高い。
番組は5月は通常通り最終週の土曜日に放送し、6月は3回放送する予定である。
参考
人質司法 (角川新書) 高野 隆 著
日本の「人質司法」
保釈の否定、自白の強要、不十分な弁護士アクセス
Human Rights Watch
https://www.hrw.org/ja/report/2023/05/24/384885
法務省
我が国の刑事司法について,国内外からの様々なご指摘やご疑問にお答えします。
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/20200120QandA.html#Q3
高野泰年