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「大麻等の薬物対策のあり方検討会」は第7回も平行線

5月28日「大麻等の薬物対策のあり方検討会」の最終回に当たる第7回が開かれた。前回は終了後に使用罪創設の誤報が流れたため、使用罪反対派はよりはっきりと否定の立場を示した。
使用罪反対派の気になった発言や意見は以下の通り。
・「ハームリダクションの)国際的な流れに逆らうなら、日本独自の根拠を示せ」

・「結論から言うと使用罪の創設には反対。最初に言っておかないと、合意していないのに合意したようにメディアに書かれることがあるのではっきり言わなければならない」

・「ゲートウェイドラッグ(より強い薬物に進む入り口の薬)ならば、大麻が増えていれば覚せい剤も増えていなければいけないけれど、むしろ覚せい剤はどんどん減っている」

・健康被害についてきちんとした精神医学の研究は過去に5つの古い症例報告しかない。自身が行っている全国の病院調査では、大麻の患者の特徴は、「仕事についている患者が多い」「学歴が高い」など、「社会的な機能が高いことが逆に浮き彫りになっている」

・使用罪賛成派の「大麻の単純所持で検挙された人の意識調査で、使用罪がないことが大麻を使用する要因となったと答えた人が2割いる」という発言を受けて、
「仮に大麻使用者全体に当てはまる結果だとしても、大麻に使用罪があったから、この方々が使用をやめるとは限らない。
この調査では『もし使用罪があれば、あなたは使用をやめますか?』とは聞いていない。したがって使用罪があることの抑止効果がどうかは不明ではないか」

・G7で大麻医薬品が承認されていないから日本も足並みを揃えていくべきだと考えているのであれば、『使用罪』がないのも国際的な潮流。そこも海外の潮流に合わせていくことが大事」

・「一般社団法人 GREEN ZONE JAPAN」代表の正高佑志氏と行った市中の大麻経験者4138人の調査では、過去1年以内に大麻を使用した経験がある人の中で依存症は8.3パーセントで、不快な症状を訴えた3割のうち、数時間以上症状が続いて人の助けが必要だった人は0.12%だったことを示した。
大麻精神病と言われるような症状を示した人は1.3%で、統合失調症の紛れ込みを考えると「大麻の精神病惹起作用についてももっと慎重に吟味する必要がある」とした。

使用罪賛成派の気になった意見は以下の通り

・大麻草農家が収穫の時に大麻成分を吸引して「麻酔い」という症状を起こすことを理由に「使用罪」が設けられてこなかったが、尿検査で大麻成分が検出されなかった調査結果を受けて創設

・他の薬物法規と同様に成分に着目した規制とするとともに、大麻から製造された医薬品の施用を可能とすると、他の薬物法規との整合性の観点から、大麻の使用に対し罰則を科さない合理的な理由は見い出し難い。

・「大麻精神障害に関する原著論文は5つしかないというが、私が調べただけでも15以上ある。この分野の専門家として絶対におかしい」

・「世界的に大麻はゲートウェイという見方は非常に強い」とし、覚せい剤の使用が減っている理由については、「所持や使うことについて捕まる薬物から捕まらない薬物へのシフト」があると指摘して、「ゲートウェイドラッグである大麻が増えれば覚せい剤も増える」という図式は成り立たないと述べた。

・「( GREEN ZONE JAPAN)サイトを見ると、大麻に関心を持っている人がアクセスするところで、その結果をもって『市中の大麻使用者』という言い方が妥当なのか。
母集団として偏っている」と調査の信頼性に疑問を投げかけつつも、この調査で依存症率が8%と出た数値については「決して低くない。無視できない」

・「大麻だけスティグマ論を取り上げて、他の薬物に関する規制との整合性を曲げてまで使用罪の部分だけ放置しておくのは理屈や合理性を感じない。大麻に関する特殊な考え方が背景にあるのか」

高野の私見
「麻酔い~」について、これまで大麻農家を虐げてきた上に今度は使用罪を創設するために利用するとは言語道断である。
「他の薬物との整合性~」について他の違法薬物についても使用罪を廃止するのが国際的な流れ。整合性も取れる。それに薬物によって有害性が違うから法律も別々にするのが普通ではないか。
お互いが参考資料を否定しあう展開の中で、賛成派はGREEN ZONE JAPANの実施したアンケートにケチを付けながらも、都合のいい数字だけはいただこうとしている。卑しさというのか腐った感性というのか。
「大麻だけスティグマ論~」の発言が象徴するように使用罪賛成派の委員は毎回話を聞いていないのか、理解できないのか、聞く気がないのか、本当に何度もハームリダクションの説明に時間が費やされる。
反対派は大麻以外の違法薬物も含めて使用罪の有害性を何度も指摘している。
厚労省は意図的に議論したくなるような有識者を選んだように思えてならない。

5月14日の第6回のあり方検討会での使用罪反対派の発言で気になったの以下の通り

・「国内の研究」として健康被害の知見を出すのであれば、国内で実施された調査・研究の知見を提示すべきであって、国内の研究者がレビューした知見を提示するべきではないと思います。

・保護観察所などでプログラムをやるときに、唾液検査をやっているときに大麻を同時に調べているので、使用罪ができると保護観察中に逮捕される人がどんどん増えてしまう

・大麻の使用経験がある方が160万人、過去1年間においても9万人いるという推定値が出ている中で、検挙された方だけの情報をもって判断するのはセレクションバイアスが非常に高いのではないか

・(第2回の資料の大麻の障害について)ぱっと見て、あまりにもいろいろな障害が出ていて、ちょっと多過ぎるのではないかなと、出典はどこだろうと若干考えました。
しかも、急性の主な身体作用というところに知覚の変容などとあって、これは急性の精神作用ではない

・「有名大学生、大麻使用」というのが連日新聞あるいはマスメディアを賑わせた時代がありました。
そのときの大学サイドの大方の意見は、自信ありげに、「退学処分にしました」。

・大麻の乱用が国民に広がって、それで病院に来る人が増えて、大麻の健康被害が医療機関で深刻になっているというような誤読を誘います。
意図的なものではないのかもしれませんが、やはり書きぶりには注意していただければと思います。むしろ啓発が進んで治療につながる人が増えている、それで薬物依存症患者が増えているのです。

・第3回で法務省のデータベースを使った研究で、やはり刑務所に入れば入るほど、また捕まりやすくなるというエビデンスを紹介させていただいた。

・いきなり捕まえられて身柄を数日押さえられたら、大体の会社は首になります。
そして、前科をつけないと言われても、犯罪に当たる行為をやったら、やはり学校としては退学という判断をせざるを得ない現実もあるでしょう。
その結果、友達が離れ、家族が離れ、仕事に就けず、そして、自分の話を聴いてくれる人は薬を使っている人という状況になってしまう。

・その根っこには、様々な生きづらさやメンタルヘルスの問題がある。
こればかりはそうした治療や回復支援の現場を見たことがなければ分からないでしょうが、とはいえ、そうした現実を無視し、規制ありきの議論が安易に進んでいる気がしています。
非常に恐ろしいなと思います。

・我が国の薬物依存症者の内訳を見てみますと、一番多いものが覚醒剤、これは変わらないのですが、2番目が処方薬、特にこれは睡眠薬や抗不安薬です。
そして、3番目が一般用医薬品という順序で続いております。

・「『ダメ。ゼッタイ。』だけでは絶対駄目」というのが私のスローガンです。

・一種の官民協働の草の根ファシズムみたいな格好で、薬物の問題を抱えた方たちの排除が起きている。

・「困っている当事者が見て不快に思うような予防啓発は、少なくとも公衆衛生の政策ではアウト」

・過度に健康影響を強調し、毒とか害とかいう言葉を使って脅かそうとするのではなくて、エビデンスベースドでやっていく(べき)

一方、使用罪賛成派の気になった発言

・ 大麻由来のTHCだけを、ほかの医薬品にも使われることがある麻薬成分と異なる取扱いをするという合理性は基本的にはない

・使用罪が規定されていないというのが一部大麻の使用につながっているという調査結果もある

・「ダメ。ゼッタイ。」という用語は、先ほど御説明しましたように、記録に残っているとおり、中毒者に対しての呼びかけではなくて、始めていない人たちへの呼びかけであったという事実は、覚えておく必要があると思います。

高野の私見
反対派からこれだけの意見が出ている第6回会議が「使用罪創設がおおむね合意された」などと報道された。
厚労省の指示なのだろうが、共同通信、NHK、読売新聞は訂正記事を出すべきではないだろうか。
5月14日のNHKニュースはデマそのものである。
「厚生労働省は、法律ですでに禁止されている所持や栽培などに加え、使用そのものを規制する「使用罪」を創設することを決めました。」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210514/k10013031561000.html

第7回の様子は
大麻「使用罪」創設で激しい議論 座長「反対意見も反映して国民に提示」 岩永直子 BuzzFeed News Editor, Japan
https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/cannabis-kentoukai-0528?utm_source=dynamic&utm_campaign=bfsharetwitter
を参照した。本当に貴重な報道である。他の傍聴したメディアも真面目に働け。

第6回も第7回も反対派の意見はだいたい同じ。
「ダメ。ゼッタイ。派」が批判される度に擁護にもいちいち時間が割かれる。

この検討会でTHCの有害性の検証をどれほど真面目にしてくれるのかを期待していたが、全く検証されず「極めて有害」の決めつけの元に会議は迷走を続けた。
【「国内の研究」として健康被害の知見を出すのであれば、国内で実施された調査・研究の知見を提示すべきであって、国内の研究者がレビューした知見を提示するべきではない】
の発言が日本が国内で大麻をほとんど研究できていないことを表している。
海外では大麻の有害性はアルコールの半分ほどという調査結果がある。それが本当なら使用罪は検討にすら当たらない。
英国における薬物害:多基準決定分析
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(10)61462-6/references

大麻(THC)が未成年には顕著な有害性がある、使用後は自動車運転をしてはいけない、精神疾患のある方は使用を控えるといったところが嗜好大麻合法国の見解である。

第7回の結びで3人の委員からは反対のご意見があったと座長が認めている。
この検討会はどんな形でまとめられるだろうか。

高野泰年

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